この記事は、貸倒引当金の意味や使われている理由を知っている前提で
貸倒引当金の具体的な仕訳方法、関連する勘定科目や専門用語が書かれている記事です。
そもそも貸倒引当金の意味や使われている理由を知らない場合は、
先に、評価勘定の記事を上から順に読んで後にこの記事を読みに来て下さい!
評価勘定を、使われている理由と減価償却累計額と貸倒引当金の実例を知れば理解し易いです
貸倒引当金の仕訳方法は、減価償却累計額と同じ。
減価償却累計額も、上の評価勘定の記事を読めば出てきます。
貸倒引当金の対象になる債権は、「一括評価金銭債権」と言って、回収できなくなる恐れがそんなに高くない債権のことです。
- 売掛金、貸付金
- 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で益金の額に算入されたもの
- 他人のために立替払をした場合の立替金(次の2の(4)に当たるものを除きます。)
- 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
- 保証債務を履行した場合の求償権
- 売掛金、貸付金などの債権について取得した受取手形
- 売掛金、貸付金などの債権について取得した先日付小切手のうち法人が一括評価金銭債権に含めたもの
- 延払基準を適用している場合の割賦未収金等
- 売買があったものとされる法人税法上のリース取引のリース料のうち、支払期日の到来していないもの
- 工事進行基準を適用している場合のその工事の目的物を引き渡す前の工事未収金(平成20年4月1日以後に開始する事業年度)
※回収できなくなる恐れがかなり高い債権のことを「個別評価金銭債権」と言います。
※今回は、「一括評価金銭債権」のみ扱います。
以上より、よく使われる勘定科目を取り上げます。
- 売掛金・受取手形(売上債権)
- 貸付金や未収入金などの金銭債権(その他流動資産)
貸倒引当金は、使われている理由こそ違うものの仕訳の方法は減価償却累計額の名前が変わっただけなので
借方 減価償却費 167,000円 / 貸方 減価償却累計額 167,000円
↓
借方 (何か費用) 167,000円 / 貸方 貸倒引当金 167,000円
ってことになります。
しかし、青色申告の個人事業主の貸倒引当金の額は、当該一括評価金銭債権の5.5%が上限です。
この記事では上限の5.5%とします。
売掛金が1,000,000円なので貸倒引当金は55,000円となります。
よってこの記事は
「青色申告をする個人事業主の一括評価金銭債権に対する貸倒引当金」
についての記事ということです!
※貸倒引当金の額が売掛金の上限の5.5%で妥当かどうかは所轄税務署でご確認下さい。
※個人事業主の場合の個別評価金銭債権は自分で調べて下さい。
※法人の場合の一括評価金銭債権・個別評価金銭債権は自分で調べて下さい。
この記事を読まなくても良いみたいに受け取ってしまったら
それは違っていて、貸倒引当金についての理解はこの記事を読むべきです!
また、“名前が変わっただけ”と言ったので、資産計上が前にあるということです。
貸倒引当金の対象が債権なので、例えば売掛金にします。
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
借方 (何か費用) 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
何か費用=貸倒引当金繰入
(何か費用)の正体は、“貸倒引当金繰入” でした。
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
期末残高 売掛金 1,000,000円 貸倒引当金 △55,000円
貸倒引当金繰入とは費用の1つで、仕訳の方法は減価償却費と同じようなものであって
借方にあると増加して費用を増やします。
しかし、減価償却費は直接法としても
借方 減価償却費 167,000円 / 貸方 車両運搬具 167,000円
間接法としても
借方 減価償却費 167,000円 / 貸方 減価償却累計額 167,000円
どっちの場合でも出てくる勘定科目に対して、
貸倒引当金繰入は貸方に貸倒引当金がある時だけ出てきます。
つまり、
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
ということです。
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
が、減価償却の間接法っぽいので間接法と言えるのかは税理士とか会計士じゃないのでそこまで詳しくありません笑
また、貸倒引当金繰入は当期中の必要経費になりますので税金が安くなることになりこれはまた、
「貸倒引当金繰入」と計上した瞬間に確定します。
債権が回収されることもあるから
それでも確定と言えるの?
という疑問を、当時の僕は持ちました。
しかし、貸倒引当金を当期で計上した後に当期中に債権が回収されることはありません。
なぜかと言えば、貸倒引当金(厳密に言えば貸倒引当金繰入)は決算取引だからです!
決算取引については、このまま読み進めて行けば出てくるのでこのままどこにも行かずに読み進めて下さい。
貸倒引当金繰入/貸倒引当金 は債権の回収不可能の恐れが生じない限り計上しない
また、貸倒引当金繰入と減価償却費は仕訳の方法が同じではありますが、
借方 車両運搬具 1,000,000円 / 貸方 現金 1,000,000円
と仕訳した後は、そもそも資産として計上するってことは必要経費として費用の計上が認められるので
借方 減価償却費 167,000円 / 貸方 減価償却累計額 167,000円
と仕訳するのはセットとなります。
(また、減価償却費/減価償却累計額 は計上後は確定であって取り消しは有り得ないのですが、それは
減価償却費/減価償却累計額がこれもまた決算取引だからです。)
対して、
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
と仕訳した後は、債権の回収がされる限りは通常はこれで終わりです。
なので、回収不可能な恐れが生じて初めて
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
と仕訳をするのです。
この“回収不能な恐れ”は、どの時点で判断するかと言うとこれもまた決算の時です!
貸倒引当金を当期で計上した後に当期中に債権が回収されることはありません。
にも繋がります。
では、決算取引について行きます!
貸倒引当金繰入と貸倒引当金戻入は決算取引
決算取引については、ここに載っています!
取引とは?実は色々な種類がある!(資本取引だけ個別記事)
なぜ、「貸倒引当金は決算取引」と、書かなかったかと言うと
貸倒引当金を赤文字にしておくので、以下の例を注目して下さい。
(例)
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
当期2022年 ○月○日
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円 (期中取引)
(売上1,000,000円なので所得税)
しかし、2022年決算時に貸倒引当金を見積もった。
当期2022年決算
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円(決算取引)
(売上1,000,000円だけど、貸倒引当金繰入という必要経費が55,000円なので
1,000,000円-55,000円=945,000円に所得税)
【翌期2023年】
貸倒引当金の残高 55,000円
当期に見積もった貸倒引当金分の売掛金が回収不能となった場合
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
・・・と、貸倒引当金は、当期決算時に見積もった貸倒引当金が翌期に売掛金が回収不能と確定した場合は
それは期中取引だからです。
貸倒引当金が出てきたとしても、それは必ずしも決算取引にならないのに対して
貸倒引当金繰入と貸倒引当金戻入は決算時にしか出てきません。
(貸倒引当金戻入については、後から出てきます。)
ここで、以下のように疑問が出てきます。
翌期に実際に貸倒れてしまったことは
別に翌期の決算時に決算取引としても良いのでは?
しかし、当期決算時に見積もった貸倒引当金が翌期に売掛金が回収不能と確定した場合はそれは期中取引なのです。
似たような以下の仕訳例も、期中取引です。
(例)
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に55,000円の貸倒れが確定してしまった。
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
※1ちなみに
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
→この時の貸倒引当金は必要経費ではありません。
(何が必要経費かわからない場合は理解していないので、また最初から読んで下さい。)
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
→この時の貸倒損失は必要経費です。
※2
また、貸倒損失は貸倒引当金とは違って見積もりでも何でもないので実際に貸倒れた額を全額、期中取引として計上します。
(例)
1,000,000円全てが貸倒れてしまった。
貸倒損失 1,000,000円 / 売掛金 1,000,000円 (期中取引)
(貸倒損失についても、後から出てきます。)
当期の貸倒引当金の額より翌期の額の方を減らす場合に、貸倒引当金戻入が出てくる(増やす場合は次の見出しで後述)
貸倒引当金戻入と貸倒損失が見出し記事としての意味で未回収でしたが、まずは貸倒引当金戻入を回収します!
仕訳の例をどうぞ。
貸倒引当金4.5%→3.5%(差額補充法で仕訳)
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
○月○日
売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、決算時に貸倒引当金を4.5%で見積もった。
当期決算
貸倒引当金繰入 45,000円 / 貸倒引当金 45,000円
当期2022年末時点の貸倒引当金の残高 45,000円
【翌期2023年】
翌期2023年首時点の貸倒引当金の残高 45,000円
2023年になっても、2022年発生の貸倒引当金が回収できずに2023年の期末まで経過。
しかし2023年決算時に、貸倒引当金を3.5%で見積もった。
翌期決算
貸倒引当金 10,000円 / 貸倒引当戻入 10,000円
翌期2023年末時点の貸倒引当金の残高 35,000円
貸倒引当戻入が出てきましたね。
当期2022年で4.5%→翌期2023年で3.5%と割合を減らしたってことは、
当期2022年での4.5%の必要経費として貸倒引当金繰入の45,000円が多かったということなので
翌期の2023年に貸倒引当戻入という収益にして戻している。ということです。
んで、“差額補充法で仕訳”と書いていたかと思いますが、
当期2022年での4.5%の貸倒引当金繰入の45,000円を
翌期の2023年に3.5%の35,000円にしたいということなのですが、
当期2022年での4.5%の貸倒引当金繰入の45,000円は既に確定してしまったので
翌期の2023年の決算時に、その差額の45,000-35,000円=10,000円を貸倒引当金戻入という収益とし(原因としての貸方)、
その結果(としての借方)、差額の10,000円を貸倒引当金の残高から減らすということです。
貸倒引当金4.5%→3.5%(洗替法で仕訳)
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
○月○日
売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、決算時に貸倒引当金を4.5%で見積もった。
当期決算
貸倒引当金繰入 45,000円 / 貸倒引当金 45,000円
当期2022年末時点の貸倒引当金の残高 45,000円
【翌期2023年】
翌期2023年首時点の貸倒引当金の残高 45,000円
2023年になっても、2022年発生の貸倒引当金が回収できずに2023年の期末まで経過。
しかし2023年決算時に、貸倒引当金を3.5%で見積もった。
翌期決算
貸倒引当金 45,000円 / 貸倒引当戻入 45,000円
貸倒引当金繰入 35,000円 / 貸倒引当金 35,000円
翌期2023年末時点の貸倒引当金の残高 35,000円
差額ではなく、一旦両方の残高を0にします。
0にするには、逆の仕訳をします。
貸倒引当金繰入 45,000円 / 貸倒引当金 45,000円
貸倒引当金 45,000円 / 貸倒引当金戻入 45,000円
これが洗替法です。
当期の貸倒引当金の額より翌期の額の方を増やす場合の、差額補充法と洗替法の仕訳例
前の見出しで出て来た、増やす場合の仕訳例です。
貸倒引当金戻入という勘定科目は、差額補充法では出て来ないです。
差額補充法と洗替法の仕訳例の再度の提示でこの2つの方法の理解を深める見出しにして下さい。
貸倒引当金4.5%→5.5%(差額補充法で仕訳)
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
○月○日
売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、決算時に貸倒引当金を4.5%で見積もった。
当期決算
貸倒引当金繰入 45,000円 / 貸倒引当金 45,000円
当期2022年末時点の貸倒引当金の残高 45,000円
【翌期2023年】
翌期2023年首時点の貸倒引当金の残高 45,000円
2023年になっても、2022年発生の貸倒引当金が回収できずに2023年の期末まで経過。
更に2023年決算時に、貸倒引当金を5.5%で見積もった。
翌期決算
貸倒引当金繰入 10,000円 / 貸倒引当金 10,000円
翌期2023年末時点の貸倒引当金の残高 55,000円
簡単ですね。
貸倒引当金4.5%→5.5%(洗替法で仕訳)
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
○月○日
売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、決算時に貸倒引当金を4.5%で見積もった。
当期決算
貸倒引当金繰入 45,000円 / 貸倒引当金 45,000円
当期2022年末時点の貸倒引当金の残高 45,000円
【翌期2023年】
翌期2023年首時点の貸倒引当金の残高 45,000円
2023年になっても、2022年発生の貸倒引当金が回収できずに2023年の期末まで経過。
更に2023年決算時に、貸倒引当金を3.5%で見積もった。
翌期決算
貸倒引当金 45,000円 / 貸倒引当戻入 45,000円
貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸倒引当金 55,000円
翌期2023年末時点の貸倒引当金の残高 55,000円
当期末の決算時に見積もった貸倒引当金が、翌期の期中に貸倒れたら
先程も書きましたが、また載せます。
貸倒損失の見出し記事としての意味での回収の為にも載せないといけないからです。
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
当期2022年 ○月○日
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円 (期中取引)
しかし、2022年決算時に貸倒引当金を見積もった。
当期2022年決算
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円(決算取引)
【翌期2023年】
貸倒引当金の残高 55,000円
当期に見積もった貸倒引当金分の売掛金が回収不能となった場合
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
貸倒引当金の残高 0円
上から丁寧に読めば、理論的には簡単ですね!
それではお待たせしました、貸倒損失です!
貸倒損失
貸倒損失も回収します!
既に、
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
に似た仕訳として貸倒損失という勘定科目があることを書きました。
複数の仕訳例を提示してみます。
仕訳例を出せば、貸倒引当金と貸倒損失の違いがわかることでしょう!
当期中の売上を売掛金として計上したが、当期中に貸倒れが確定した(貸倒引当金計上なし)
【当期2022年】
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に55,000円の貸倒れが確定してしまった。
売掛金 1,000,000円 / 売上 1,000,000円(期中取引)
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円 (期中取引)
また、貸倒損失は貸倒引当金とは違って見積もりでも何でもないので実際に貸倒れた額を全額、期中取引として計上します。
【当期2022年】
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に1,000,000円全てが貸倒れてしまった。
売掛金 1,000,000円 / 売上 1,000,000円(期中取引)
貸倒損失 1,000,000円 / 売掛金 1,000,000円 (期中取引)
貸倒損失とどんな違いがあるの?
という疑問を誰しも抱くのですが、既に書いている通り貸倒引当金は決算取引なので
前期末の決算時に貸倒引当金を計上してないと、当期中に貸倒れた場合に貸倒引当金という勘定科目は使えません。
つまり貸倒損失とは、売掛金(などの債権)が貸倒れた年に、その年より前の年の末の決算時に
その売掛金に対して貸倒引当金を見積もってない場合に使われる勘定科目ということです。
だからこそ、「売掛金/売上が発生した年」と、その「売掛金が貸倒れた年」が同じ場合に
貸倒引当金は見積もってないので、貸倒損失が使われます。
次の仕訳例も、同じ理屈で貸倒損失が疲れています。
当期中の売上を売掛金として計上し、当期末決算時に貸倒引当金も見積もったが、翌期中に当期末決算時に見積もった額を超える額の貸倒れが確定した
つまり、貸倒損失と貸倒引当金が1つの取引に混同しているってことです。
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
当期2022年 ○月○日
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、2022年決算時に貸倒引当金を見積もった。
当期2022年決算
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
当期での必要経費額 55,000円(貸倒引当金繰入)
【翌期2023年】
貸倒引当金の残高 55,000円
当期に見積もった貸倒引当金分の売掛金が回収不能となっただけでなく、
残りの貸倒引当金として見積もっていない945,000円の売掛金も回収不能となった。
・・・とは書かずに、
「売掛金全額回収不能となった。」と表現します。
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 1,000,000円
貸倒損失 945,000円 /
貸倒引当金の残高 0円
翌期での必要経費額 945,000円(貸倒損失)
貸倒損失の945,000円も、当期末の決算時に貸倒引当金として見積もっていないという意味で
1つ前の仕訳例と全く同じですね。
貸倒引当金の回収→償却債権取立益 貸倒損失の回収→当期中なら逆仕訳で取り消し、翌期以降なら償却債権取立益
最後に、回収された場合の仕訳です!
これも仕訳例の提示で理解が良いです。
貸倒引当金の回収時は、償却債権取立益という勘定科目を使う。
見積もった貸倒引当金と同じ額が回収された場合
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
当期2022年 ○月○日
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、2022年決算時に貸倒引当金を見積もった。
当期2022年決算
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
当期末時の貸倒引当金の残高 55,000円
【翌期2023年】
翌期首時の貸倒引当金の残高 55,000円
当期に見積もった貸倒引当金分の売掛金が回収された。
さて、ここからが知らないと無理な仕訳方法を載せます笑
貸倒引当金の回収なのだから、償却債権取立益を使うので
現金 55,000円 / 償却債権取立益 55,000円
以上でおしまい!と思ってましたが、
売掛金も55,000円減らさないといけないと思うから
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円
という仕訳をしないといけない気がするんだけど、
けどこの仕訳は、回収できずに貸倒れた時の仕訳だし・・・
と、当たり前なことに気付いて疑問が生じました。
そして何と・・・貸倒引当金を回収した場合は
当期に見積もった貸倒引当金分の売掛金が回収不能となった場合の仕訳
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円
をしてから、
現金 55,000円 / 償却債権取立益 55,000円
とするらしいです・・・笑
見積もった貸倒引当金と比べて少ない額が回収された場合
【当期2022年】
当期2022年中に1,000,000円の売上を売掛金として計上
当期2022年 ○月○日
借方 売掛金 1,000,000円 / 貸方 売上 1,000,000円
しかし、2022年決算時に貸倒引当金を見積もった。
当期2022年決算
借方 貸倒引当金繰入 55,000円 / 貸方 貸倒引当金 55,000円
当期末時の貸倒引当金の残高 55,000円
【翌期2023年】
翌期首時の貸倒引当金の残高 55,000円
当期に見積もった貸倒引当金分の内、45,000円の売掛金が回収された。
貸倒引当金 45,000円 / 売掛金 45,000円
(ここまでは、同じ額が返ってきた場合と同じで一部回収不能になったと考える。)
現金 45,000円 / 償却債権取立益 45,000円
見積もった貸倒引当金と比べて多い額が回収された場合
【当期2022年】
省略。
【翌期2023年】
当期に見積もった貸倒引当金の55,000円を超えて65,000円返って来た。
貸倒引当金 55,000円 / 売掛金 55,000円
(ここまでは、同じ額が返ってきた場合と同じで全額回収不能になったと考える。)
さて、この後の仕訳が複雑です。
貸倒引当金の全額55,000円だけじゃなくて、追加で10,000円分も回収できました。
まずは、貸倒引当金の全額55,000円が回収できた仕訳です。
現金 55,000円 / 償却債権取立益 55,000円
これは既に出てきましたね。
そして、最後に
現金 10,000円 / 売掛金 10,000円
はい、複雑ですね笑
しかし、この会計の仕組みを理解して会計ソフトや税理士を使うのか否かで
僕個人としては大きく違うと思うので僕に共感する人はしっかりと理解して下さい!
貸倒損失の回収時は、当期中なら逆仕訳で取り消し、翌期以降なら償却債権取立益
貸倒損失と同じ額が回収された場合
当期中の回収
【当期2022年】
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に55,000円の貸倒れが確定してしまった。
売掛金 1,000,000円 / 売上 1,000,000円
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円
と思ったが、当期中に55,000円が回収された。
現金 55,000円 / 貸倒損失 55,000円
翌期以降の回収
【翌期2023年】
当期中に貸倒れとして処理した貸倒損失の55,000円が翌期に回収された。
現金 55,000円 / 償却債権取立益 55,000円
貸倒損失と比べて少ない額が回収された場合
当期中の回収
【当期2022年】
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に55,000円の貸倒れが確定してしまった。
売掛金 1,000,000円 / 売上 1,000,000円
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円
売掛金 残高 945,000円
と思ったが、当期中に45,000円が回収された。
現金 45,000円 / 貸倒損失 45,000円
貸倒損失 残高 10,000円
売掛金 残高 945,000円
1,000,000円の売掛金の内、45,000円が回収されたので
売掛金は残り955,000円!・・・と思いがちだが
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円 の時に既に仕訳済みなので
当期中に45,000円が回収されたとしても
売掛金の残りは、945,000円で固定です!
貸方の売掛金は55,000円じゃなくて
45,000円にしないといけない気がするんだけど・・・
と、当時の僕も思ってましたが、貸方損失の残高は
現金 45,000円 / 貸倒損失 45,000円
の仕訳をした時に
貸倒損失 残高 10,000円
となっています。
分りやすくする為だけに、仕訳のルールを無視します笑
ので、これは間違っている可能性大です。
でも分りやすくする為なら手段を問いません笑
(なぜならば、総勘定元帳の残高式のような記帳法を仕訳に使っているからです。)
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円(借方の貸倒損失と)
現金 45,000円 / 貸倒損失 45,000円(貸方の貸倒損失を)
を相殺すると残高10,000円になります。
↓
貸倒損失 10,000円 / 売掛金 55,000円
現金 45,000円 /
これで、借方と貸方の額が一致しました。
勿論、この仕訳の仕方は間違いなのですが理解し易いかと思います。
(理解しにくい場合は削除します笑)
では、言葉で説明します。
貸倒損失という費用を計上するってことは、売掛金の額も減ります。
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円・・・①とする。
現金が回収されるってことも、この場合も売掛金の額も減ります。
現金 55,000円 / 売掛金 55,000円・・・②とする。
(良く見る仕訳例ですね。)
では、今回の貸倒れた後に回収の場合
現金 55,000円 / 貸倒損失 55,000円
これはつまり、①の貸倒損失が現金に変わっているだけです。
費用を計上したら、売掛金を減らすし
現金を回収したら、売掛金を減らします。
費用が現金に変わっただけなので、貸方の売掛金の額は変わりません。
さきほど出てきた以下の仕訳例も同じです。
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円
現金 45,000円 / 貸倒損失 45,000円
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円
55,000円の費用を計上したのだから、売掛金も55,000円減らす。
現金 45,000円 / 貸倒損失 45,000円
45,000円の現金を回収したのだから、売掛金も45,000円減らす。
+
10,000円の費用が残っているのだから、売掛金を10,000円減らす。
翌期以降の回収
【当期2022年】
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に55,000円の貸倒れが確定してしまった。
売掛金 1,000,000円 / 売上 1,000,000円
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円
売掛金 残高 945,000円
【翌期2023年】
と思ったが、翌期に45,000円が回収された。
現金 45,000円 / 償却債権取立益 45,000円
貸倒損失と比べて多い額が回収された場合
当期中の回収
【当期2022年】
当期中の売上1,000,000円を売掛金として計上したが、当期中に55,000円の貸倒れが確定してしまった。
売掛金 1,000,000円 / 売上 1,000,000円
貸倒損失 55,000円 / 売掛金 55,000円
と思ったが、当期中に65,000円が回収された。
現金 65,000円 / 貸倒損失 55,000円
/ 売掛金 10,000円
翌期以降の回収
【翌期2023年】
当期中に貸倒れとして処理した貸倒損失の55,000円より多く翌期に65,000円が回収された。
現金 55,000円 / 償却債権取立益 55,000円
/ 売掛金 10,000円
以上、長文でしたがお疲れさまでした。